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開発者からのメッセージ
開発担当:原宏造

1999年、DIATONE市販用スピーカーが終息した後、音響技術者および研究者は三菱電機グループ内の三菱電機エンジニアリング(株)に集結し、DIATONEで培った音響技術を三菱電機のAV、車載製品に生かすため開発を進めていました。
そして、DIATONEスピーカー製品を再び世に送り出すことを夢見て業務に勤しんでいました。
主業務とは別にハイエンドに必要な部品に関連する業界との連絡を絶やさず、チャンスがあればすぐにでも再スタートが切れる準備を怠らなかったのです。
そして、そのチャンスがやって来ました。

新機種の開発テーマは綺麗な音を迫力あるスケールで再生したい、と考え「緻密さとダイナミックな表現の両立」としました。

スピーカーを設計する上でこの二律背反とも言うべきテーマは重く大きいものです。
大音量においても繊細さを得るには振動板を主とする振動系、および磁気回路系すべてのリニアリティーの確保が要求されます。DS-MA1では自家薬籠中の技術であるB4Cピュアボロン振動板を採用することで、音の立ち上がりが速く、さらに立下りも速い再生に低ひずみ磁気回路ADMCに新たなネオジウム磁石を採用してひずみの低減を合わせて緻密さを得、新たな手法で大きな音量でも崩れず、小さな音量でも良好なバランスを得ることを目指しました。

ここではこのテーマを実現するために採った本スピーカーの開発の基本姿勢ともいうべき考え方を紹介します。

音の前後感演出
市場で大勢を占めているスリムトールボーイ形のキャビネットを有するシステムはどちらかと言えばスピーカーの後方に音場を創り出すことが得手ですが、前方に現出させることはまず出来ません。
実はDIATONEでも同様で、特にドーム形中音ユニットを使用する場合になかなかうまくいかなかった経験があるのです。DIATONEの設計者達がオフタイムでも必ず話し合うテーマでありました。「どうやったら前も後ろも演出できるのだろうか」 実は長年の宿題とも言うべき内容なのでした。
ホーン形スピーカーは音の前方向への「飛び」は抜群ですが、後方は苦手です。
そこで直接放射型のドーム形スピーカーを用いながら前方に少しだけ負荷をかけるフロントロードを採用しました。これは次の「 2.音響負荷 」に関連します。
音響負荷
ドーム形中音ユニットは小さめから通常の音量の際には破綻無く再生出来ますが、特に大きな音量になると入力された電気のエネルギーを空気の振動に変換しきれないような音の傾向になりやすく、あえて言えば振動板に音がへばりつくような感じに聞こえていました。さらにドーム形ユニットは同様の理由からか金管楽器のホーンの再生が不得手で「らしさ」が出難かったのです。
結果的に特性としては元来指向性の広いドーム形スピーカーにフロントロードを加えて指向性をやや絞込み前方への音放射を優先することにしました。
低ひずみ磁気回路設計
3ユニット全てに小型で高エネルギーのネオジウム磁石を採用して内磁型とし、必然的に小型化できるところをあえて大型に、さらに磁路を太くする余裕を持った設計としました。
DIATONEとして初めてのネオジウム磁石を使用したAD.M.C. ( Advanced Magnet Circuit ) で低ひずみ化を目指しました。
超高域再生
高域用ユニットには新規の形状であるリング形を採用することとしました。
実はこれの原型は1988年のオーディオエキスポのDVDオーディオ協議会ブースで各社持ち寄りの5チャンネル再生システムにDIATONEのDS-20000Bが採用されたのですが、その上にスーパーTWとして付加したユニットでした。
当時20kHz以上を再生する高域用ユニットとしてはリボン型、リーフ型あるいはハイル型という言わば膜振動タイプのものしかなく、通常のマグネチック型で如何に再生できるかを検討していたものでした。
この振動系設計を基本に5kHzから超高域までをカバーする(付加スーパーツィータを不要とする)ユニットを開発することとしました。
反応の速さ感の統一
中高音にB4Cピュアボロン振動板とフロントロードを併用します。
元々立ち上がりの速いB4Cピュアボロン振動板を使用しますからこれに合わせる低音用ウーファの速度感を向上させるためにとにかく軽量化することを第一目標としました。 アラミド織布とパルプの2層で構成されるアラミドクロスコーンを採用して強度を確保しながら従来にない軽量化を目指しました。
これに伴い、磁気回路部品は磁路を大きくとることにより重量増を図るとともに磁束密度を高く維持して総合的に立ち上がりの反応の速さを目指しました。
キャビネット意匠
海外製スピーカーをはじめ、近年のスピーカーシステムは昔ながらの六面体(直方体)形状から離れラウンドしていたり、皮革が張られていたり、光沢塗装があったりと百花繚乱の様相を呈しています。
DS-MA1ではDIATONEが蓄積してきた六面体キャビネットの音詰めのノウハウを捨て去って新たな形状に挑むよりコンベンショナルな方向を選択しました。直線的な斜めカットとしたサーフェース・カットを採用しました。
これにより音の色彩感を向上させています。さらに足元ですが砲金削り出しのインシュレータにピンを立ててスピーカー本体を点接触させてキャビネットの振動のメカニカル・アースを取っています。これにより、床からの反射のキャビネットへの影響を極小にするよう配慮することとしました。
シングルワイヤリング
市場ではもう一般的になっているバイワイヤリング対応をせず、シングル仕様を基本としています。
これはスピーカーシステムの設計、音詰めの段階でこれまでにも経験していることですが、バイワイヤリングの場合には本来の名前の通りのアンプ出力端子から完全に別のワイヤを使用するバイワイヤ接続のほかにショートバー、ショートリードを使用する場合があり、この場合アンプからのケーブルを低域側に入れるか高域側に入れるかによって音色に差が出ますし、端子に対するケーブルの挿入方向でも音が変わります。
このため久しぶりにDIATONEのブランドで出現させるスピーカーシステムの本来の音がどれなのかという迷いを生じさせたくないとの判断からシングルを選択しています。
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求める音の方向性
ピュアボロン振動板の採用に始まりADMCによる低ひずみ化や能率の確保、超高域再生の実現など上記して参りました様々な技術をキーとして、ソフトに含まれている音をとことん「緻密」に再生できることを目指しました。
「あぁ、ここまでこのソフトには音が入っていたんですね」と言っていただきたいという思いです。同時に音の消える最後までを聴き取りたいとも考えました。
低域も同様にいないときは絶対に不要な音は出さない。信号に入っている音だけを再現するS/N感を基本と考えています。

個々の技術の詳細につきましては今後HPの中で紹介するページを拡充して参ります。その節はご覧いただきますようお願いいたします。
最後に
DS-MA1は三菱電機エンジニアリングが直接お客様に販売する形態をとっています。
現在は弊社の九段下にある本社にある試聴室でのみお聴きいただけます。
技術者、専任スタッフがご満足いただけるようサポートさせていただいております。
毎月、フリー試聴会、月例試聴会など企画しておりますので、是非九段下の試聴室にお出でいただき、開発スタッフとご納得いくまでお話し頂きたいと思います。
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